『ツワネ原則』-第3章A

 
情報の機密指定及び機密解除に関する規則
 

原則 11:

情報を機密指定する理由を述べる義務

(a) 国家が機密指定の公式のプロセスを有しているいないに関わらず、公権力は、情報を機密指定する理由を述べる義務がある。
注記:「機密指定」とは、注意を要する情報が含まれる記録が検討され、その上で誰がアクセスしてよいのか、いかにして記録が扱われるべきかを指示する印が与えられるプロセスのことである。恣意性と過剰な情報秘匿を減らすために、情報の機密指定に関する公式のシステムを構築することは優れた実践である。
(b) 機密指定の根拠として、その情報が属する、原則9でリスト化されたカテゴリーのいずれかに対応した、情報の厳密な分類を示すべきであり、また、開示することによって生じうる損害を、その深刻さの程度、それが起こりうる可能性を含めて、記述しなくてはならない。
(c) 機密のレベル設定をする場合は、レベルの決定を正当化する上で想定された損害の程度とそれが起こりうる可能性に釣りあうものであるべきである。
(d) 情報が機密扱いにされるとき、(i)機密のレベル(設定されている場合)と機密扱いの最長期間を示す保護的な印と 、(ii)そのレベルと期間を定める必要性を正当化する文言を記録に添付すべきである。
注記:各情報の機密指定の決定理由を述べる文言を添付することが推奨されるのは、開示した結果起こり得る具体的な損害に公務員の注意を向けるためである。パラグラフごとに印を付けることで、文書中の機密でない部分を開示する際により整合性を保つことができる。

 

原則 12:
機密指定の規則へのパブリック・アクセス
(a) 公衆は、機密指定を規定する手続きと基準について、それらが効力を発する前に意見を述べる機会を有するべきである。
(b) 公衆は、機密指定を定める手続きと基準に関する文書へのアクセスを有するべきである。

 

原則 13:
機密指定の権限
(a) 法によって定義される、特別に権限が与えられ指名された公務員だけが、情報を機密扱いにすることができる。指名されていない公務員が、情報が機密扱いにされるべきだと考えた場合、使命された公務員が機密指定の提案を検討するまでの短期間の明確化された期間、機密扱いとみなされ得る。
注記:機密指定の権限を定める法規定がない場合、少なくとも委任権限を規則で明確化することは優れた実践である。
(b) 機密扱いの決定について責任のある者を特定する情報は、それを秘匿するやむをえない理由が存在しない限り、 説明責任を確保するために、特定可能であり、書面で示されねばならない。
(c) 法に基づき指名されたこれらの公務員は、一次機密指定権限を、行政上効率的な最少人数の上級職員に割りふるべきである。
注記:機密指定の権限をもつ者の数に関する情報、そして機密情報にアクセスする権限をもつ者の数に関する情報を公開することは良い取り組みである。

 

原則 14:
機密指定に対する内部での異議申立を促進する

安全保障部門に所属する者を含め、情報が不適切に機密指定されていると考える公務関係者は、情報の機密指定に異議を唱えることができる。
 
注記:安全保障機関には強い秘密主義の風潮があり、またほとんどの国では、治安職員からの異議申し立てを受理する独立した機関が設置又は指定されておらず、治安関連の情報の暴露は、その他の情報の暴露に比べて厳しい処罰が科されることが多いということを考えれば、安全保障機関の職員は機密指定に異議を唱えるよう特に強く奨励されることが望ましい。

 
 

原則 15:
国家安全保障に関する情報を保管し、管理し、維持する義務
(a) 公権力は、国際基準[1]に準じて、情報を保管、管理、維持する義務を有する。情報は、法に基づいてのみ、保有、管理、維持の対象から除外される。
[1] これには以下が含まれる:国際公文書協議会(ICA)『公文書へのアクセスの原則』(2012年)、ICA『世界アーカイブ宣言』(2010:ユネスコ承認)、欧州評議会『公文書へのアクセスに関する欧州の政策に関する勧告R(2000)13』(2000年)、アントニオ・ゴンザレス・クィンタナ、ICA『人権保護における公文書のポリシー』かつての抑圧的な政権における国家安全保障機関の公文書管理(2009年)に関するユネスコと国際公文書協議会作成によるレポートの最新完全版(1995年)
(b) 情報は適切に維持されるべきである。分類整理のシステムは整合的で、(合法的に機密扱いとなった情報が漏れることがない形で)透明且つ包括的で、アクセスへの具体的な請求があった場合に、開示されていない情報であってもすべての関連情報の所在が特定できるべきである。
(c) 各々の公的機関は、保有する機密記録の、詳細で正確なリストを作成し、公開し、定期的に検討し、更新すべきである。ただしその存在自体が、原則19に基づき合法的に秘匿されているような例外的な文書があればそれを除く。
注記:これらのリストは1年ごとに更新されることが望ましい。

 

原則 16:
機密扱いの期間の期限
(a) 情報は国家安全保障上の理由によって秘匿され得るが、正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要な限りにおいてのみである。情報を秘匿する決定は、本原則の遵守を確保するために、定期的に見直されるべきである。
注記:法令によって、少なくとも5年ごとの見直しを義務付けることが望ましい。より短い期間での見直しを義務付けている国もある。
(b) 機密指定を決定する者は、機密扱いが失効する日付、条件、又は出来事について明記するべきである。
注記:機密扱いが失効する期限、又は条件や出来事の詳細は、定期的に見直されることが望ましい。
(c) 無期限に機密扱いにしてもよい情報はない。国家安全保障を理由にした機密扱いの想定される最大期限は、法によって定めら れるべきである。
(d) 情報は、例外的な状況においてのみ想定された期限を越えて秘匿され得るが、それは異なる意思決定者によって、期限を修正されて設定され、あらためて秘匿決定がさなれることによる。

 

原則 17:
機密指定解除の手続き
(a) 機密指定解除の指針を確立し定期的に更新することを含め、政府が機密指定解除の作業を調整し、監視し、履行する責任を国内法に明記すべきである。
(b) 公益性をもつ機密指定された情報を優先的に機密指定解除するための手続きは、適切に定められるべきである。原則10のリストのカテゴリーに分類されるような情報を含む、公益性のある情報が、例外的な重要性のために機密扱いにされている場合、それはできる限り迅速に機密解除されるべきである。
(c) 国内法で、総括的な(一括、及び/又はサンプリングによる)機密解除のための手続きを制定するべきである。
(d) それぞれのカテゴリーの機密指定情報について、自動的な機密解除期限を国内法で定めるべきである。機密解除の負担を最小限にするために、可能な場合はいつでも、記録は再検討なしに自動的に機密指定解除されるべきである。
(e) 文書の機密解除請求について、アクセス可能な公的手続を国内法で定めるべきである。
(f) 裁判所、法廷、その他の監督機関、オンブズマン、申立機関によって機密指定が解除されたものも含め、機密指定が解除された文書は積極的に公開するか、さもなければ公的にアクセス可能にするべきである(例えば、国の公文書保管所や情報へのアクセスに関する法律と整合性をとるなど)。
注記:この原則は、前文パラグラフ15に示される、情報秘匿のための他の理由を考慮するという但し書きを損なわない。
注記:以下は、推奨される追加的な実践である。

  • 機密指定解除手続における新たな技術の利用を定期的に検討する。及び、
  • 自動的且つ総括的なものを含め、機密指定解除の優先順位を確立するプロセスに関する専門知識を持つ者との定期的な協議を行う。

 
 

目次
 
, 前文, 語句の定義,
第1章, 第2章, 第3章 A, 第3章 B, 第4章, 第5章, 第6章, 第7章, 第8章,
付録 A

 
 

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