風知空知

『ツワネ原則』

 
前 文

この原則の起草に関わった組織及び個人は…

国家が保有する情報へのアクセスは全ての人の権利であり、従ってこの権利は例外規定の少ない厳密に定められた法律によって、また独立した裁判所、国会の監視機関及びその他の独立機関による権利の監視のための法律によって保護されねばならないことを想起し…

国家安全保障の見地を含め、国家が特定の情報を秘匿することによる正当な利益があり得ることを認識し、情報の公開と非公開の間に適切な基準を設けることが民主主義社会にとって極めて重要であり、またその安全、進歩、発展及び福祉並びに人権と基本的自由の完全な享受のために必要不可欠であることを強調し…

人々が政府の行動を監視し、民主主義社会に十全に参加することを可能にしようとするならば、国家安全保障に関連する情報を含め、公権力が保有する情報へのアクセスが絶対必要であると確信し…

この原則が、当局が保有する情報に人々がアクセスする権利及びその他の人権に関する国際法・基準(とりわけ国際及び国内の法廷の判決に現れているように)、徐々に進化しつつある国家の慣行、国際社会によって認められている法律の一般原則、及び専門家の記述に基づいていることを明記し…

世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、人及び人民の権利に関するアフリカ憲章、米州人権条約、欧州人権条約、公文書へのアクセスに関する欧州評議会条約の関連条項に留意し…

さらに、米州人権委員会の表現の自由に関する原則宣言、情報へのアクセスに関する米州モデル法、アフリカにおける表現の自由に関する原則宣言、情報へのアクセスに関するアフリカモデル法に留意し…

言論・表現の自由に関する国連特別報告者、メディアの自由に関する欧州安全保障協力機構(OSCE)代表、及び表現の自由に関する米州人権委員会特別報告者の2004年共同宣言、以上三者及び表現の自由と情報へのアクセスに関する人及び人民の権利に関するアフリカ委員会特別報告者による2006年、2008年、2009年、2010年の共同宣言、国連及び米州特別報告者のウィキリークスに関する2010年12月の共同声明、2010年にヴェニス委員会で採択されたテロ対策及び人権に関する報告書を想起し…

さらに、1995年にアーティクル19が招集した専門家グループによって採択された国家安全保障、表現の自由及び情報へのアクセスに関するヨハネスブルグ原則、国家安全保障研究センター(CNSS)及びポーランド・ヘルシンキ人権財団によって1997年に作成された立憲民主主義における安全保障サービスの監視と説明責任原則を想起し…

一定の状況下で、企業からの、又は企業に関連する情報へのアクセスが決定的に重要であることを認めたものとして、情報へのアクセスに関するアフリカモデル法、ビジネスと人権に関する国連指導原則(ラギー・フレームワーク)、武器貿易条約、経済協力開発機構(OECDD)多国籍企業行動指針、武力紛争における民間軍事・警備会社の行動に関する国家の適切な国際法上の義務及びグッドプラクティスに関するモントルー文書などに含まれる国際原則があること、及びそれらの原則の一部は、国家安全保障部門内で運営されている民間軍事・警備会社が特定の情報を公開する必要があることに明確に言及していることを明記し…

この原則が、国連人権理事会の要請で、2010年、当時テロ撲滅における人権及び基本的自由の促進及び保護に関する国連特別報告者であったマーティ ン・シェイニンが発表し「情報局とその監視のための法的制度的枠組みに関するグッドプラクティス」で言及された、情報収集、個人情報の管理又は情報共有の実際の基準には言及していないことを明記し…

国連安全保障理事会決議第1373号によって要求された国家間の効果的な情報共有の重要性を認識し…

さらに、国家安全保障の名において設けられた公衆への情報公開や独立監視への障害が、違法な、不正な、及び虚偽の行為が発生しそれが暴露されないリスクを高め、プライバシーその他の個人の権利の侵害が国家安全保障上の秘密という覆いの下でしばしば発生することを認識し…

過度の機密指定は、政府関連機関や同盟国の間での情報共有を妨げ、正当な秘密の保護を不可能にし、多くの不要な情報の中から重要な情報をみつけることを不可能にし、複数の機関が情報を重ねて収集することになり、安全保障担当者に過重な負担をかけるなど国家安全保障にとって損失となることを懸念し…

この原則が「公衆の」知る権利に焦点を当てていること、また、公衆の知る権利に密接に結びついている範囲のみにおいて、被拘禁者、人権侵害の犠牲者及びその他の強く情報を求める人々の知る権利に言及していることを強調し…

国家安全保障の見地からは非公開にすべきでない特定の情報が、それにもかかわらず、例えば国際関係、司法手続の公平性、訴訟人の権利、個人のプライバシーなど、国際法に認められた様々なその他の理由で非公開にされる可能性があるが、それは、その情報の秘密性を維持することによる公共の利益が、情報にアクセスすることによる利益よりも明らかに大きい場合に限られるという原則によると認識し…

政府機関、立法機関、監督機関、その他の公的機関、法律起草者、裁判所、その他の監視機関、及び国家安全保障と知る権利の間にある最も難解な問題に関わる市民団体、とりわけ人権と民主的説明責任の尊重に携わる機関・人々に対して実際的な指針を提供することを希望し…

普遍的な価値と汎用性を持つ原則を作り上げるよう努め…

公開することによる公共の利益と、正当な国家安全保障上の利益保護のために秘密にする必要性のバランスを取るに当たって広く様々な困難に各国が直面すること、また、原則が普遍的である一方で、その実際の適用は、司法制度の多様性など各地の現実に応じたものであり得ることを認識し…

原則1に定められた知る権利の完全な実現を漸次達成することを目指し、国家、地域、国際レベルの適切な機関がこの原則を流布・議論する措置を取り、承認・採択し、さらにその実行も同時に、または実行のみを、可能なかぎり行うよう勧告する。
 

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