幼年期は終わる

 中学生の頃、SF(空想科学)小説に嵌り、一時期それ系の本ばかり読んでいました。で、SF小説目録のような小冊子の中に気になる小説があったのですが、当時は娯楽性の高いSFが好みだったので、その小説のタイトルに興味は引かれたものの、解説を読むと何やら難解そうな雰囲気だったので、読むのを後回しにしていました。

 そうこうするうちにSF小説熱もいつしか冷め、日々の喧騒に埋もれ今日に至っているワケですが、それでも不思議とその小説の題名が忘れられず、それが…
 


『幼年期の終り』
ハヤカワ文庫 SF
アーサー・C・クラーク (著), 福島 正実 (翻訳)

 
 先日、たまたま某サイトで『幼年期の終わり』のあらすじを知ったのですが、読まないでおいてヨカッタわw。当時読んだとしてもワタシには理解不能だったと、100%確信できますw。
 

【All in One_00】 幼年期の終わり (要約)
 
 人類以上の存在が地球に飛来し、自らが無力だと悟った人類は、正体不明の地球外知的生命体「オーバー・ロード」の管理の下に「ワン・ワールド」を築き、そして、「ワン・ワールド」が安定化した頃に人類にその姿を見せた「オーバー・ロード」は、古より伝えられた「悪魔」にその容姿が似ていた。

 しかし宗教すら瓦解していた「ワン・ワールド」の人類は、「オーバー・ロード」を受け容れ、やがて全ての子供たちの人格に変化が現れるようになる。

 人類は「精神の癌」を宿す種族であり、その破壊力は物理的世界を凌駕して宇宙の隅々にまで感染するので、そうした事態を防ぐために、「オーバー・ロード」の更の上の存在である「オーバー・マインド」に遣わされて、彼ら「オーバー・ロード」は地球に来た。

 子供たちの人格の変容は「精神の癌」を取り除いた結果であり、「精神の癌」=「エゴ」を取り除かれた子供たちはひとつの統合体とり、「オーバー・マインド」の待つ星へと旅立って行く。

 後に残された空っぽの地球はその役目を終え、静かに終焉の時を迎える…。

 
 要約のまた要約ですが、あらすじを読んだだけでも様々な示唆を含んでいて、先ず「ワン・ワールド」の出現ですが、いまでこそ陰謀論のひとつで…

イルミナティー

…が云々とか?「ワン・ワールド」という単語がネット上にも溢れていますが、当時(1970年代)は「ワン・ワールド」を論ずる人は稀で、妄想の類。
 

 
 宗教が瓦解するというのも「ワン・ワールド」の世界観のひとつで、当時は口に出すのも憚られる「危険思想」だったんじゃないんの?だからこそ、SF小説の中でなら…と。
 

 
 子供たちの人格(精神)の変容は、人気アニメ「ヱヴァンゲリオン」の中で繰り返し語られる「人類補完計画」のようですw。
 

 
 物語の「柱」となるのは「人類の精神性」なワケですが、つい最近もその手の邦画(「SPEC~天~」)が封切られ興行成績もイイようで、ワタシたちがそうした超常現象(オカルト)が好きなのは、知的好奇心の他に…

超人的能力が欲しい

…という、個人的願いがあるのも否めません。
 

 
 で、もし?そうした「特殊能力」を手に入れた時、人はどう振舞うのか?ドラマ版の「SPEC」の中では…
 
「SPEC(特殊能力)は欲望の産物だ!」
 
…と、普通の人間である刑事に言わしめていますが、「大金」を持てば使いたくなるのと同じで、「SPEC」を持てばそれを使いたくなるのは当然。問題は…

能力の使い方

…であり、使い方を誤ると「宇宙の崩壊」すら招きかねないというのが、「オーバー・ロード」の人類に対する見方。

 そ・こ・で、「人類補完計画」によって「精神の癌」を取り除き、ひとつに統合してしまえば混乱や破滅を回避できる…と。

 「陰謀論」に見られる「ワン・ワールド」も似たようなものですが…

そこまでしないと人類って救われないの?

…と些か…もとい、大いに悲観的にもなりますw。

 感情の起伏(喜怒哀楽)や情動(愛憎)が人類の進化の妨げとなり、ひいては宇宙的な迷惑になるなら…

人類って何なのよ?

…と著者に聞いてみたいものですが、残念ながら既に故人ですw。

 欲望を具現化することで文明、および社会が進歩してきたのは確かですが、一方で負の側面(環境破壊とか)があるのもまた事実で…

進歩に比例して弊害も大きくなる

…のであれば、人類の進化が宇宙の調和を乱すとった事態も、起こらないとは言えないワケで、『幼年期の終わり』はそうした壮大な危険性に言及したかったのかも?

 「戦争」「飢餓」「疫病」は、人類が文明を築いて以来ずっと絶えることの無い問題で、それどころか?グローバル化が進むにつれ、その被害は地球規模に拡大する傾向が見られます。

 「人類補完計画」により、個性を失った「統合体」としての「種」の進化を選ぶのか?それともひとりひとりが、「理性」による欲望をコントロールする術を身につけ、「共存」する道を選ぶのか?『幼年期の終わり』は、もう、すぐそこまで来ているのかもw。
 
 
 
 

人間ナメんなよ!

でわっ!

 
 

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