「欧米から見た日本」ダイジェスト

欧米から見た日本

 

フランシスコ・ザビエル 『書簡』
フランシスコ・ザビエル(1506~1552):イエズス会創設メンバー

…大部分の人びとは貧しいのですが、武士も、そうでない人びとも、貧しいことを不名誉とは思っていません。…

 

ヴァリニャーノ 『日本巡察記』
アレシャンドゥロ・ヴァリニャーノ (1539~1606):イエズス会宣教師

…牧畜も行なわれず、土地を利用するなんらの産業もなく、彼等の生活を保つ僅かの米があるのみである。したがって一般には庶民も貴族もきわめて貧困である。ただし彼等の間では、貧困は恥辱とは考えられていないし、ある場合には、彼等は貧しくとも清潔にして鄭重に待遇されるので、貧苦は他人の目につかないのである。…

 

ドン・ロドリゴ 『日本見聞録』
ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・ベラスコ (1564~1636):メキシコ – 政治家

…其國の最大なる不幸は、貧民に對する富者の壓迫酷使なり。然れども小麥、大麥及び米に不作の年なく、収穫多量なるが故に、能く諸人を養ひ、寧ろ外國の人及び船の來りて糧食を輸出せんことを希望せり。…

…日本人の政治は世界の諸國に就きて予が知るものに勝れり。デオス(Dios)【神】を識らざる國民にして、此の如く完全にして慈悲に適へる法律を有するは忌々しき事と思はる。此國に於ては前に述べたるが如く、惡事は皆罰するが故に、盗賊少く彼等の爲めに道路の不安なる事全然なし。…

 

セバスティアン・ビスカイノ 『金銀島探検報告』
セバスティアン・ビスカイノ (1548~1615):スペイン – 探検家

貴族は禮儀正しきが、又虚榮心、没常識及び慢心大にして、血統及び武器を重んず。又外見を張るが故に収入多額なれども常に負債を有す。此の如くなるは又皇帝の事(政策の意なり)に因る所なり。…

…一般人民は甚だ惡しく、予は之を誇張することを好まざれども、世界に於て最も劣惡なる者なり。彼等は金錢の爲め子女及び妻女を賣却す。…

…浮浪人又は無職の人なし。彼等の生活は何に依るか直に明白となり三日以上一所に居ることを得ざるが故にして、職無く主人無き者を發見すれば之を斬る。…

…此國は長さ及び幅五百レグワを超ゆるに係らず、言語は一にして文字の書方も一様なり。男女共に皆讀み書き又計算をなし、商賣の事に甚だ機敏にして猶太人も彼等には及ばず。…

 

フランソア・カロン 『日本大王国志』
フランソア・カロン (1600~1673):平戸オランダ商館長

…この国民は特に迷信的でも無ければ宗教的でも無い。彼等は朝夕、食膳・食後・あるいは時々祈ることも無い。一ヵ月に一度寺院に参詣する者は信心深いと言わざるを得ぬ。…

僧侶並に貴族大身中には男色に汚れているものがあるが、彼らはこれを罪とも恥ともしない。…

…彼らは子供を注意深くまた柔和に養育する。たとえ終夜喧しく泣いたり叫んだりしても、打擲することはほとんど、あるいは決して無い。…

 

ケンペル 『江戸参府旅行日記』
エンゲルベルト・ケンペル (1651~1716):平戸オランダ商館医師

…旅行中、突然の訪問の折りにわれわれが気付いたのであるが、世界中のいかなる国民でも、礼儀という点で日本人にまさるものはない。のみならず彼らの行状は、身分の低い百姓から最も身分の高い大名に至るまで大へん礼儀正しいので、われわれは国全体を礼儀作法を教える高等学校と呼んでもよかろう。…

…見附の宿場はずれの小さい部落の手前には、ふしだらな女性が大勢いた。戸外には俄雨でずぶぬれになった瀕死の僧侶がうつぶせになっていた。それでもまだ生きている証拠にうめき声を出していたので、みんなは彼のことを死んでいるとは考えず、手荒く扱わないようにしていた。しかし、石も涙を流すかもしれないこうした場面にも、日本人は全く冷淡であった。…

 

S・ワクセル 『ベーリングの大探検』
S・ワクセル (1701~1762):ロシア – 海軍軍人

…スパンベヤ司令は、その後さらに数日にわたって日本の沿岸をまわって、つぶさにその実態を観察した結果、この国は容易ならない国であることを知った。彼は、よくもこの国を目ざして来たものと喜びにたえなかった。その一端をあげてみるとしても、まずその無数の船舶を見ただけでもわかることで、ヨーロッパで見られるものと比較しても、けっして見おとりのしない優秀なものが少なくない。同じく貨幣を収集してみても、十分にその優秀な文化を反映している。その他はいうにおよばず、その能力はあなどれない国民性をもっている。彼は口をきわめて、よくもこの国に来ることができた、日本こそ、やがて親交を結ぶべき国であると叫んだ。…

 

C・P・ツュンベリー 『江戸参府随行記』
C・P・ツュンベリー (1743~1828):スウェーデン – 医学者・植物学者

通詞は洋書の大愛好家であり、日本へやってくる商人から毎年一冊ないし数冊の洋書を購入する。彼らは本を所有しているだけでなく、それを熱心に読み、かつ学んだことを記憶する。その上、ヨーロッパ人から何かを学ぼうという意欲に燃えており、あらゆる事柄、とくに医学、物理学、自然誌に関してたえず多くの質問をあびせるので、しばしばうんざりさせられる。…

…日本人には平気で放屁するという悪癖がある。ヨーロッパならば大変な不作法となるが、日本人は恥ずべきこととは思っていない。他の点では、礼儀をわきまえた他民族と同じくきちんとしてる。…

…注目すべきことに、この国ではどこでも子供をむち打つことはほとんどない。子供に対する禁止や不平の言葉は滅多に聞かれないし、家庭でも船でも子供を打つ、叩く、殴るといったことはほとんどなかった。まったく嘆かわしいことに、もっと教養があって洗練されているはずの民族に、そうした行為がよく見られる。…

自由は日本人の生命である。それは、我儘や放縦へと流れることなく、法律に準拠した自由である。…

…日本人は、オランダ人の非人間的な奴隷売買や不当な奴隷の扱いをきらい、憎悪を抱いている。身分の高低を問わず、法律によって自由と権利は守られており、しかもその法律の異常なまでの厳しさとその正しい履行は、各人を自分にふさわしい領域にとどめている。…

…この国民は必要にして有益な場合、その器用さと発明心を発揮する。そして勤勉さにおいて、日本人は大半の民族の群を抜いている。…

節約は日本では最も尊重されることである。それは将軍の宮殿だろうと粗末な小屋のなかだろうと、変わらず愛すべき美徳なのである。節約というものは、貧しい者には自分の所有するわずかな物で満足を与え、富める者にはその富を度外れに派手に浪費させない。…

…日本人は、自国の繁栄と存続のために最も必要にして有益なものは農業であると考えており、世界で日本ほどことさら農業に重きをおいている国はない。…

…農民が作物で納める年貢は、たしかに非常に大きい。しかしとにかく彼らはスウェーデンの荘園主に比べれば、自由に自分の土地を使える。…

 

ゴロヴニン 『日本幽囚記』
ワシリー・ミハイロヴィッチ・ゴロヴニン (1776~1831):ロシア – 海軍軍人

…日本人は節儉ではあるが、吝嗇ではない。その證據として、彼らが常に守錢奴を大いに卑しみ、吝嗇ものについて彼等の仲間うちに辛辣なアネクドートが澤山できてゐることを擧げることが出來る。…

…日本人はあらゆる階級を通じて、應對が極めて鄭重である。日本人同志の禮儀正しさは、この國民の本當な教養を示すものである。…

…市民は誰でも好きな宗教を信じ、また好きなだけ幾らでも宗旨を代へる權利を持つてゐる。また良心に覺るところがあるとか、また何かの都合があるとかで轉宗しても、誰も何とも云はないのである。…

…しかし一等大切な點は、日本人が幼年時代から子弟に忍耐、質素、禮儀を極めて巧みに教へこむことである。われわれは實地にこの賞讃すべき日本人の資質を何度もためす機會を得た。…

…鋼製品はどうかといふと、日本の大小刀は、おそらくダマスク製を除いて、世界中のあらゆる同種の製品を凌駕してゐる。…

日本の水夫は仕事が多難で危険なだけ報酬も澤山とつてゐるけれども、金使ひの荒らさはイギリスの船員に似てゐる。何ケ月も生命がけで稼いだ金を、酒店や賣笑婦に數日の中に使つてしまふのである。…

 

シーボルト 『江戸参府紀行』
フランツ・フォン・シーボルト (1796~1866): ドイツ – 医学者・博物学者・日本学者

…しかも日本には、測り知れない富をもち、半ば餓え衰えた階級の人々の上に金権をふるう工業の支配者は存在しない。労働者も工場主も日本ではヨーロッパよりもなお一層きびしい格式をもって隔てられてはいるが、彼らは同胞として相互の尊敬と好意とによってさらに堅く結ばれている。…

 

M・C・ペリー 『日本遠征記』
M・C・ペリー (1794~1858):アメリカ – 海軍軍人

普通教育制度に似たものもあるやうである。何故ならばメイランが、あらゆる階級の男女兒童は差別なく初等學校に通學せしめられると述べてゐるからである。それが國家によつて維持されてゐるものかどうかについては語つてゐない。その學校で生徒等は全部讀み書きを教はり、自國の歴史についての知識をすこし手ほどきされるのである。かやうにして、最も貧しい農夫の子供にも大抵は學問が出來る仕組なのである。…

琉球人は明かに、日本人よりもよい生活をしてゐた。…

…日本の手工業者は世界に於ける如何なる手工業者にも劣らず練達であつて、人民の發明力をもつと自由に發達させるならば日本人は最も成功してゐる工業國民(マニュファクチャ-リング・ネーションズ)に何時までも劣つてはゐないことだらう。…

 

ゴンチャロフ 『フリゲート艦パルラダ号』
I・A・ゴンチャロフ(1812~1891):ロシア – 作家

…その他の點ではこの國民は、ヨーロッパ人と比べなければ、相當に開けて居り、應待も氣樂で氣持がよく、又あの獨特の教養は極めて注目すべきものがある。…

 

ハリス 『日本滞在期』
タウンゼンド・ハリス (1804~1878):アメリカ – 外交官

…このような男女の混浴は女性の貞操にとって危檢ではないかと、私は副奉行に聞いてみた。彼は、往々そのようなこともあると答えた。そこで私は、處女であると思われている女と結婚して、床入りの時そうでないことを知ったときには、男の方はどうするかと問うた。副奉行は、「どうにも」と答えた。…

…日本人は至って欲望の少ない國民である。…

なんとかして眞實が囘避され得るかぎり、決して日本人は眞實を語りはしないと私は考える。率直に眞實な囘答をすればよいときでも、日本人は虚偽をいうことを好む。…

…私は時として、日本を開國して外國の影響をうけさせることが、果してこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるか、どうか、疑わしくなる。…

…日本は鎖國政策を抛棄せねばならなくなるだろう。日本の國民に、その器用さと勤勉さを行使することを許しさえするならば、日本は遠からずして偉大な、強力な國家となるであろう。…

 

カッテンディーケ 『長崎海軍伝習所の日々』
カッテンディーケ (1816~1866):オランダ – 海軍軍人

…日本人はたとい死は鴻毛のごとく軽く見ているとはいえ、かりそめにも暴虐と思われることは、いっさい嫌悪する。…

…ラウツ教授は知識欲に燃えているのが日本人の特徴であると言っているが、まことに至言である。…

…日本人は物解りは早いが、かなり自負心も強い。我々のしていることを見て、直ぐさま他人の助けを藉らずともできると思い、その考えの誤りであることを諭されても、なかなか改めようとはしない。その上、非常に頑固で、陳腐な観念にコビリついている。…

…日本では婦人は、他の東洋諸国と違って、一般に非常に丁寧に扱われ、女性の当然受くべき名誉を与えられている。…

…下層の日本人は、互いに礼儀というものを全然知らない。男も女も、また男の子と娘も、一つの同じ大きな風呂に入っていることが往々ある。…

…これに反して、町人は個人的自由を享有している。しかもその自由たるや、ヨーロッパの国々でも余りその比を見ないほどの自由である。…

…日本人が他の東洋諸民族と異なる特性の一つは、奢侈贅沢に執着心を持たないことであって、非常に高貴な人々の館ですら、簡素、単純きわまるものである。…

…日本人の死を恐れないことは格別である。むろん日本人とても、その近親の死に対して悲しまないというようなことはないが、現世から彼の世に移ることは、ごく平気に考えているようだ。…

…人は何と言おうが、とにかく日本人ほど寛容心の大きな国民は何処にもいない。…

…日本人は一般にすこぶる軽率である。…

…日本人は敏捷であるから、必要だとさえ感得するならば、如何なる学問でもごく僅かな時間のうちに、ただ上っつらの知識だけではあるが、苦労なしで覚えることができる。しかし悪いことには、ちょっと始めると直ぐさま彼等の好奇心は満腹して、忽ち他の変わったものに目をつける。何事でも徹底的に学ぶ辛抱というものが、彼らには欠けている。…

日本人の悪い一面は不正直な点である。私はこれを始終経験した。…

…私はこうした、まんざら不良でもない日本人観を持って日本を去った。ああ日本、その国こそは、私がその国民と結んだ交際並びに日夜眺めた荘厳な自然の光景とともに、永く愉快な記憶に残るであろう。…

 

オールコック 『大君の都』
ラザフォード・オールコック (1809~1897):イギリス – 外交官

…いたるところで、半身または全身はだかの子供の群れが、つまらぬことでわいわい騒いでいるのに出くわす。それに、ほとんどの女は、すくなくともひとりの子供を胸に、そして往々にしてもうひとりの子供を背中につれている。この人種が多産系であることは確実であって、まさしくここは子供の楽園だ。…

…日本では、ただひとりの代表だけと交渉するということは不可能だ。元首から郵便の集配人にいたるまで、日本人はすべて対になって行動する。…

…かれらが軽蔑とか侮辱に敏感であるのにまったく正比例して、他人を腹立たせたり、他人の気にさわることを避けるために、ひじょうに気を使う。…

…日本人はむしろ、ヨーロッパとアジアをつなぐ鎖の役をしていた古代世界のギリシア人のように見える。かれらのもっともすぐれた性質のある点では、ヨーロッパ民族とアジア民族のいずれにもおとらぬ位置におかれることを要求するだけのものをもっているのだが、両民族のもっとも悪い特質をも不思議にあわせもっている。…

…どの役職も二重になっている。各人がお互いに見張り役であり、見張り合っている。全行政機構が複数制であるばかりでなく、完全に是認されたマキャヴェリズムの原則にもとづいて、人を牽制し、また反対に牽制されるという制度のもっとも入念な体制が、当地ではこまかな点についても精密かつ完全に発達している。…

民族のある体質的な特徴は、ある道徳的な特徴とともに、世代から世代へと伝えられる。日本人のばあいにもこの例外ではなくて、うそをつくその性癖はなにか最初の体質が完全に身についてしまったに相違ない。それでもなおその上に、日本人はその性質のなかになにか上品で善良なものの痕跡を多くとどめている。…

…日本政府がとっている制度ほど、思想・言論・行動の自由を決定的に抑圧する制度は、ほかに考えることが困難だ。さらにわたしは、日本の政治制度は、人間の最上の能力の自由な発達と相いれず、道徳的・知的な性質が当然熱望するものを抑圧する傾向にあり、正常にして根絶しがたいすべてのものをつちかい、発揮する手段を与えないと信じる。…

 

アーネスト・サトウ 『一外交官の見た明治維新』
アーネスト・サトウ (1843~1929):イギリス – 外交官・日本学者

…日本の商人も、往々同様な手段で相手に返報されたが、不正行為を差引きすれば日本の方がはるかに大きかった。そんなわけで、外国人たちの間に、「日本人と不正直な取引者とは同義語である」との確信がきわめて強くなった。両者の親善感情などは、あり得べくもなかったのである。…

…また、彼らは、天皇(訳注 孝明天皇)の崩御を知らせてくれ、それは、たった今公表されたばかりだと言った。噂によれば、天皇は天然痘にかかって死んだということだが、数年後に、その間の消息に通じている一日本人が私に確言したところによると、毒殺されたのだという。この天皇ミカドは、外国人に対していかなる譲歩をなすことにも、断固として反対してきた。そのために、きたるべき幕府の崩壊によって、否が応でも朝廷が西洋諸国との関係に当面しなければならなくなるのを予見した一部の人々に殺されたというのだ。…

…もしも両刀階級の者をこの日本から追い払うことができたら、この国の人民には服従の習慣があるのであるから、外国人でも日本の統治はさして困難ではなかったろう。…

 

ハインリッヒ・シュリーマン 『シュリーマン旅行記 清国・日本』
ハインリッヒ・シュリーマン (1822~1890):ドイツ – 考古学者

日本の玩具のうちとりわけ素晴らしいのは独楽で、百種類以上もあり、どれをとっても面白い。…

…他国では、人々は娼婦を憐れみ容認してはいるが、その身分は卑しく恥ずかしいものとされている。だから私も、今の今まで、日本人が「おいらん」を尊い職業と考えていようとは、夢にも思わなかった。ところが、日本人は、他の国々では卑しく恥ずかしいものと考えている彼女らを、崇めさえしているのだ。…

日本の宗教について、これまで観察してきたことから、私は、民衆の生活の中に真の宗教心は浸透しておらず、また上流階級はむしろ懐疑的であるという確信を得た。ここでは宗教儀式と寺と民衆の娯楽とが奇妙な具合に混じり合っているのである。…

 

グリフィス 『明治日本体験記』
ウィリアム・グリフィス (1843~1928):アメリカ – 牧師・東洋学者

日本の法律は乞食を人間とみとめていない。乞食は畜生である。乞食を殺しても訴えられも罰せられもしない。道路に死んで乞食が横たわっている。いやそんなことがあろうかと思うだろうが、事実そうなのである。…

…日本の住民や国土のひどい貧乏とみじめな生活に私は気がつき始めた。日本はその国について書かれた本の読者が想像していたような東洋の楽園ではなかった。…

日本の女性はより大きな自由を許されていて、そのためより多くの尊厳と自信を持っている。…

…普通の職人や農民は精神的におとなしい羊である。実際に商人は知能が平凡で、道徳的性格が低く、この点で中国人以下である。…

 

モース 『日本その日その日』
E・S・モース (1838~1925):アメリカ – 動物学者

…日本人がいろいろな新しい考案を素速く採用するやり口を見ると、この古い国民は、支那で見られる万事を死滅させるような保守主義に、縛りつけられていないことが非常にハッキリ判る。…

…いろいろな事柄の中で外国人の筆者達が一人残らず一致する事がある。それは日本が子供たちの天国だということである。…

…外国人は日本に数ヶ月いた上で、徐々に次のようなことに気がつき始める。即ち彼は日本人にすべてを教える気でいたのであるが、驚くことには、また残念ながら、自分の国で人道の名に於て道徳的教訓の重荷になっている善徳や品性を、日本人は生れながらに持っているらしいことである。…

…日本人の特性は、米国と欧洲とから取り入れた非常に多数の装置に見られた。ある国民が、ある装置の便利さと有効さとを直ちに識別するのみならず、その採用と製造とに取りかかる能力は、彼等が長期にわたる文明を持っていた証例である。これを行い得るのは、只文明の程度の高い人々だけで、未開人や野蛮人には不可能である。…

…国中が朝鮮の高圧手段に憤慨し、日本の軍隊が鎮南浦まで退却することを余儀なくされた最中に、私は京都へ行く途中、二人の朝鮮人と同じ汽車に乗り合わした。私も、朝鮮人はめったに見たことが無いが、車室内の日本人達は、彼等がこの二人を凝視した有様から察すると、一度も朝鮮人を見たことが無いらしい。二人は大阪で下車した。私も、切符を犠牲にして二人の後を追った。彼等は護衛を連れていず、巡査さえも一緒にいなかったが、事実護衛の必要は無かった。彼等の目立ちやすい白い服装や、奇妙な馬の毛の帽子や、靴やその他すべてが、私にとって珍しいと同様、日本人にも珍しいので、群衆が彼らを取りまいた。私は、あるいは敵意を含む身振か、嘲笑するような言葉かを発見することが出来るかと思って、草臥れて了うまで彼等の後をつけた。だが日本人は、この二人が、彼等の故国に於て行われつつある暴行(壬午軍乱)に、まるで無関係であることを理解せぬ程莫迦ではなく、彼等は平素の通りの礼儀正しさを以て扱われた。自然私は、我国に於る戦の最中に、北方人が南方でどんな風に取扱われたかを思い浮かべ、又しても私自身に、どっちの国民の方がより高く文明的であるかを訊ねるのであった。…

粗野で侵略的なアングロ・サクソン人種はここ五十年程前までは、日本人に対し最も間違った考えを持っていた。男性が紙鳶をあげ、花を生ける方法を学び、庭園をよろこび、扇子を持って歩き、その他女性的な習慣や行為を示す国民は、必然的に弱くて赤坊じみたものであると考えられていた。…

 

イザベラ・バード 『日本紀行』
イザベラ・バード (1831~1904):イギリス – 旅行家・探検家

…日本ほど女性がひとりで旅しても危険や無礼な行為とまったく無縁でいられる国はないと思う。…

…これほど自分の子供たちをかわいがる人々を見たことはありません。だっこやおんぶをしたり、手をつないで歩いたり、ゲームをやっているのを眺めたり、いっしょにやったり、しょっちゅうおもちゃを与えたり、遠足やお祭りに連れていったり、子供がいなくては気がすまず、また他人の子供に対してもそれ相応にかわいがり、世話を焼きます。…

…日本人は子供がとにかく好きですが、道徳観が堕落しているのと、嘘をつくことを教えるため、西洋の子供が日本人とあまりいっしょにいるのはよくありません。…

…この丁重で勤勉で文明化された人々に混じって暮らしていると、彼らの流儀を何世紀にもわたってキリスト教の強い影響を受けてきた人々のそれと比べるのは、彼らに対してきわめて不当な行為であるのを忘れるようになります。わたしたちが十二分にキリスト教化されていて、比較した結果がいつもこちらのほうに有利になればいいのですが、そうはいかないのです!

…黄色い肌、馬毛のように硬い毛髪、弱々しいまぶた、細長い目、平たい鼻、へこんだ胸、モンゴロイド特有の顔立ち、脆弱な肉体、男のよろよろした足取り、女のよちよちとした歩き方など、総じて日本人の外見からは退化しているという印象を受けますが、それに対しアイヌからはたいへん特異な印象を受けます。…

…伊藤が夕食用に鶏を買いましたが、一時間後に絞めようとしたら、嘆き悲しんだ売り主がここまで育ててきた鶏が殺されるのを見るのはしのびないとお金を返してきました。ここは未開の辺鄙な場所ですが、勘は美しいところだと告げています。…

 

グスタフ・クライトナー 『東洋紀行』
グスタフ・クライトナー (1847~1893) はオーストリア – 軍人・外交官

日本女性の地位は、たった今述べたことからも明らかなように従属的である。女性の役割は受動的なもので、夫は、妻とか娘の心の動きなどはまったく無視し、自分の好きなように、そして自分の欲する通りに家庭内をとりしきる。…

日本の田舎の人は富の恩恵を受けていない。生活は惨めなものである。米を食べることのできる裕福な家庭は数える程ほどしかない。…

東京は大きな村という感じだった。そして、町の無数の貧弱な木造家屋の中に高々と聳え立っている帝の居城さえも、宮殿というよりもむしろバラックといった趣であった。…

日本の発展と、強い影響を及ぼすその文化とには多くの賞讃が寄せられている。が、わたしは、日本讃美にとりつかれるのは、たいていの場合、深い基盤を欠いた、一時の浅薄な熱狂にすぎない、と見ている。…

 

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 『日本の面影』
ラスカディオ・ハーン (1850~1904):ギリシア – ジャーナリスト・作家

日本がキリスト教に改宗するなら、道徳やそのほかの面で得るものは何もないが、失うものは多いといわねばならない。これは、公平に日本を観察してきた多くの見識者の声であるが、私もそう信じて疑わない。…

この国の人はいつの時代も、面白いものを作ったり、探したりして過ごしてきた。…

…しかし、心得るべきことは、どんなに貧しくて、身分が低いものであろうと、日本人は、不当な仕打ちにはまず従わないということである。日本人が一見おとなしそうなのは、主に道徳の観念に照らして、そうしているのである。…

…日本人のように、幸せに生きていくための秘訣を十分に心得ている人々は、他の文明国にはいない。人生の喜びは、周囲の人たちの幸福にかかっており、そうであるからこそ、無私と忍耐を、われわれのうちに培う必要があるということを、日本人ほど広く一般に理解している国民は、他にあるまい。…

 
 
 
 

人間ナメんなよ!

でわっ!