そして誰もいなくなった

 
 つい先日、エジプトの沖合いに巨大ガス田が発見されたというニュースがありましたよね?
 

[FT]エジプト「怪物」ガス田で変わる地域の勢力図
日経新聞 2015/9/7 14:42
 
 経済を一変させる規模の油田やガス田を発見することはめったにない。だが先週、イタリア炭化水素公社(ENI)はそれをやってのけた。エジプト沖の海底に「超巨大なガス田」を発見し、世界最大級のガス田の可能性があると声高に宣言した。
 
 「ゾフル」は怪物で、地中海で発見されたガス田としては最大だ。同ガス田は海底よりはるかに下の約1500メートルの深さにあるが、既存のインフラで到達可能な位置であるため、開発は比較的容易だ。ENIのクラウディオ・デスカルツィ最高経営責任者(CEO)は、同ガス田は30兆立方フィート以上の天然ガスを埋蔵しており、原油に換算すると55億バレルに相当すると話している。
 
 実際、エジプトにとってのゾフルの重要性とはその「巨大さ」だとエネルギー分野のコンサルティング会社、英ウッドマッケンジーはみている。早ければ2017年にプロジェクトが稼働すると見込まれており、稼働後はエジプトのガス需要を最低10年は満たし、輸入の必要がなくなる。
 
 この発見はエジプトを越えた他の場所、とりわけイスラエルにも衝撃をもたらした。イスラエルで最近発見され、もう影が薄くなってしまったリバイアサン・ガス田のガスをエジプトに輸出しようとエネルギー企業がもくろんでいた。
 
 英国オックスフォード・エネルギー研究所のシニア・リサーチ・フェロー、パトリック・ヘザー氏は「これは非常に大きい。このガス田の発見でエジプトはエネルギー輸出国に返り咲き、地中海の他のすべてのガス田開発計画を狂わせるだろう」と話し、「欧州全体にとってこれは良いニュースに違いない」とも指摘した。「市場に流れるガスが増えるだろう。問題は、欧州がガスを必要としているかどうかだ」
 
 
■ 海外からの投資に弾み
 
 先週の発見は、エジプトの(ガス田)探査の復興の証しだ。もし適切な管理の下で行われれば、これで国内需要が供給を上回る同国のエネルギー危機に終止符を打つことができるかもしれない。
 
 発見が乏しかったこの10年を経て、国際的なエネルギーグループは今年、数十億ドルをエジプトに投資すると発表した。エジプト政府による債務返済や国内のエネルギー補助金削減の動きに促された形だ。ENIの成功で、西ナイルデルタ地域のプロジェクトに120億ドルを投資するBPの開発に拍車がかかるだろう。
 
 国外からの投資は必須だ。同国経済は11年に起きた革命後の政治的混乱で打撃を受けたが、主に天然ガスの生産減少に起因するエネルギー不足でそれが一層悪化した。ピーク時の09年には1日当たり61億立方フィートあった生産量は14年に1日当たり47億立方フィートにまで落ち込んでいた。
 
 その結果、エジプトは最近、液化天然ガス(LNG)の輸出国から純輸入国に転落した。セメント業者や肥料製造業者などのエネルギー不足の製造業者への供給は配給となり、量も削減されることが多くなっている。
 
 ウッドマッケンジーは、LNGの輸入は来年は約600万トンに達すると見込んでいる。だが、新たなガス田から1日当たり25億~30億立方フィートが産出されれば、おそらくエジプトは再び自給自足できるようになるだろう。
 
 
■ イスラエルのエネルギー部門は混乱
 
 その一方で、ゾフルは隣国イスラエルの未熟なエネルギー部門を混乱に陥れ、政治の面では非難の応酬が続いている。
 
 ENIの発表前でさえ、イスラエル沖のリバイアサン・ガス田の65億ドルの開発計画については、株主に過度な価格決定力や市場支配力を与えずにどうプロジェクトを進めるかを巡り、同国の内閣や国会で意見が対立し、困難な状況に陥っていた。これらの株主は13年にイスラエルに供給を開始したもっと小さなタマル・ガス田も支配している。
 
 エジプトで発見されたガス田はリバイアサンの約1.4倍だ。そのため、投資家はリバイアサンからエジプトにガスを供給する可能性が小さくなることも考慮するようになった。同ガス田開発に参画するデレクなどのイスラエル企業の株価は先週急落した。タマルとリバイアサンの海外の主要株主である米ノーブル・エナジーの株価も下落した。
 
 ゾフルはリバイアサンにとっては大打撃だが、同ガス田開発はそれでも続くだろう。エジプトにあるBGグループのイドゥク精製所へのガスの販売に関する15年契約の基本合意書がこのプロジェクトの事業計画の中心だが、関係者はヨルダンの電力会社などの他社との合意もあると話す。
 
 しかし、最終的にはこうしたガス田はエジプトからの需要減少だけでなく、世界的な供給過剰とも戦うことになるだろう。
 
 アジアの消費減速と原油価格の崩壊は、需要が低迷する欧州のLNG市場に重くのしかかっている。さらに、エジプトによる新たなガスの供給が開始されるのは、米国でいくつかのプロジェクトが完了するのとほぼ同時期になるだろう。欧米の石油当局者はENIがLNGの一部を休止状態にあるダミエッタの輸出施設を通じて輸出しようとしており、南欧が当然その輸出先になると見ている。
 
 コンサルタント会社のエナジー・アスペクツは「この地域は天然ガスに事欠かないようだ」と見ている。もしそうなら、大勝利を収めるのは欧州のバイヤーかもしれない。
 
By Christopher Adams, Heba Saleh and John Reed
 
(2015年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 
(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

 
 で、それと関連するのか?アレですが、エジプトの大富豪がギリシャの島を買って、シリア難民にプレゼント?するというニュースも。
 

エジプト富豪、「島の購入」を申し出 難民の受け入れ先に
CNN 2015.09.06 Sun posted at 15:40 JST
 


資産家のナギーブ・サウィリス氏

 
ロンドン(CNNMoney) 欧州諸国に中東やアフリカから難民、移民らが殺到している問題で、エジプトの富豪は6日までにイタリアもしくはギリシャで島を自費で購入し、これらの人々を収容させる支援策を申し出た。
 
この人物は通信企業グループ「オラスコムTMT」の経営者で中東でも指折りの富豪とされるナギーブ・サウィリス氏。ツイッター上で、イタリアやギリシャ両国に島を売るよう呼び掛け、島の名前を「希望」にすることも示唆した。購入費については「いくらでも出す用意がある」としている。
 
両国沖合には無人の数十の島々があるとし、10万~20万人が居住可能と指摘。自らの案は決して馬鹿げたものではないとも主張した。
 
また、同氏はCNNの取材に応じ、極めて簡単な解決策と説明。島を買った後、臨時の避難施設を用意し、小規模の港を造って難民らの船を到着させるとの考えを示した。難民らを雇用して自宅、学校、病院、大学やホテルを建設させるとも述べた。難民らはいつでも母国へ戻れる自由を持ち、島に住み続けることも出来ると語った。
 
島購入などを思い付いた動機に関連し、「政治家たちは感情がないとも時に感じる」とも強調した。
 
サウィリス氏の提案に対するイタリア、ギリシャ両国の反応は明らかでない。

 
 サウィリス氏の提案が実現化するかどうかは疑問ですが、過去エジプトとシリアは、一時期ですがひとつの国「アラブ連合共和国」だったことがあり、「同胞の窮状を救いたい」という任侠心に駆られてのことかも知れません。
 
 で、エジプトやイスラエルの沖合いにガス田が発見されたということは…
 
シリアの沖合いにもあるんじゃないの?
 
…とも考えられるワケで、ちょうど一年前になりますが、イスラエルの「ガス田横取り」のニュースがあったのを思い出した次第です。
 

Israel Steals Gaza’s Offshore Natural Gas: $15 Billion Deal with Jordan
イスラエル:パレスチナ人の天然ガスを盗みヨルダンに売却契約
【9月6日 By Julie Lévesque】
 
 ガザのパレスチナ人が毎日停電に苦しんでいる時、イスラエルはパレスチナ人の天然ガスを盗んで、それをヨルダンに横流しする重要な契約を結んだと、研究者が語った。
 
 パレスチナ人のエネルギー源を盗むだけでなく、イスラエルはガザにたった一つしかない発電所を最近の軍事侵攻で破壊した。
 
 7月29日RTは以下のように報じた:
 

イスラエル戦車の砲撃は、100万人以上がいるガザにたった一つしかない発電所の燃料庫を直撃し、発電所は操業停止を余儀なくされた。発電所のモハメド・アル・シャリフ所長は、『発電所は終わった』と語った。(RT、2014年7月29日)

 
 中東モニターは9月4日、了解覚書は「イスラエルとヨルダンの間で署名が交わされることになった。これはリバイアサンのガス田の天然ガスをイスラエルがヨルダンに15年間輸出するというもので、合計150億ドルの契約である」という内容であると報じた。(中東モニター、9月4日)
 
(中略)
 
 2008年暮れから始まったイスラエルによる「鉛をぶち込め作戦」の爆撃と侵攻の際、「パレスチナのガス田は国際法を破って、事実上イスラエルによって没収されてしまった」ということを思いおこすだろう。この作戦の後、イスラエル政府は「イスラエル沿岸沖」の東地中海にリバイアサン天然ガス田があることを発見した、と発表した。

当時はこのガス田は:「レバンテ海盆付近で発見された最も有望なガス田で、それは東地中海海域の8万3000平方キロをカバーする広さがある」と言われた。
同じ場所にある2009年に発見されたタマル・ガス田と共に、イスラエルやヒューストン、その他のパートナー達にとってはエネルギー大豊作という様相を呈した。(グローバル・リサーチ、2013年12月30日)

 このガザのガス田は、拡大レバント領域の一部である。(マイケル・チョスドフスキー、「戦争と天然ガス:イスラエルの侵略とガザ沿岸のガス田」、グローバル・リサーチ、2009年1月8日)

 タイム・オブ・イスラエル誌は、この輸出は「イスラエルをヨルダンのための主なるエネルギー供給者にならせる」(マリサ・ニューマン、「イスラエルはヨルダンと150億ドルのガス取引に署名する」、2014年9月3日)

 イスラエルのビジネスニュースのアウトレットのグローブは、アメリカ国務省がイスラエルに「戦略的目標を達成させる位置を利用する」能力を与えることになる、この取引に署名するよう、両国を「支援した」と報じた。

この取引はイスラエルの自然インフラ大臣と水資源大臣のシルバン・シャロームとアメリカ国務省の支援で実現された。
アメリカ国務長官のジョン・ケリーの特使および国際問題調整者のアモス・ホッチステインはヨルダンにいて、署名式に臨む。シルバン・シャロームは署名がされる前にこの取引を承認することが要求される。
この取引はイスラエルとヨルダンの経済的戦略的関係を著しく変化させる。イスラエルをエネルギー供給者と輸出者にさせ、そのことをイスラエルは戦略的目標を達成することに利用できることになる。

 中東モニター誌によれば、ヨルダンは先月、「ガザ沖のパレスチナ領海からの天然ガスをヨルダンに供給するという」推奨を承認した、という。
 

ヨルダン内閣は先月、パレスチナ当局との調整後、ヨルダンにガザ沖のパレスチナ領海で発見されたガス田からの天然ガスを供給するという、経済発展委員会の推奨する事柄を承認した。
 
パレスチナ人はガザ沖のガス田に利権を持っている。このガス田はガザ沖35kmにあり90年代の終わりに発見された。まだ何も抽出されていない。(中東モニター)

 
 イスラエルとヨルダンの今度の取引は、上記の承認事案に障害となるのだろうか?
 
 一つのことは確かだ。イスラエルを「ヨルダンの主なるエネルギー供給者」にする、そしてイスラエルを重要なエネルギー操作者とすることで「戦略的目標を達成することにその位置を利用する」存在にさせるこの新しい取引は、イスラエルのガザ攻撃の噂されている目的に新しい解釈を与える、ということだ。
 
 パレスチナ人のこのガス田が没収されたイスラエルの2007年の軍事侵攻の一年前、イスラエルの国防大臣と前イスラエル軍参謀総長のモシェ・ヤアロンは、「イスラエルは更なる天然ガス資源が必要である」と書いた。しかしながらパレスチナ人からガスを購入するということは、「イスラエルに対する資金テロに等しいこと」になりかねないと、またガスによる収入は、「より一層存立可能なパレスチナ国家を推し進める主要な力」にはなり得ないと主張した。彼の下記の声明は、イスラエルの軍事作戦とパレスチナの石油とガス資源との関係を明らかに示している:
 

ブリティッシュガスはパレスチナ経済の王冠の宝石になるはずだったし、イスラエルのエネルギー問題に対する回答の一部になるはずだった。イギリスのエネルギー分野の巨人である、現在ではBGグループと呼ばれる存在とそのパートナーであるマフムド・アッバスのパレスチナ当局と、民間会社のパレスチナ所有のコンソリデイティッド・コントラクタース・カンパニー(CCC)は、1兆4000億立方フィートほどになる大規模な天然ガス資源をイスラエルに売却するための交渉を進めている。このガス田はBGがガザ沖に2000年に発見したものだ。
 
 このガスの市場価格は40億ドルほどと見積もられている。従ってこのガスをイスラエルに売却することは、パレスチナ当局、ひいてはパレスチナ人民に億のドルがたなぼた的に舞い込むことになる。
 
 残念ながら、前イギリス首相のトニー・ブレイヤーを含むイギリスの評価である、ガザのガスは経済的により一層存立可能なパレスチナ国家の主要な推進役になりうる、というのは勘違いをしているのだ。イスラエルにパレスチナのガスを売却することでの収益は、貧困にあるパレスチナ人民を助けることにはなりそうもないのだ。
 
 イスラエルのためには、BGのガスの需要は既に悪い影響を与え始めている。イスラエルがガスを購入するのではとの展望は、オルメルト内閣に、ガザでのイスラエル国防軍の地上作戦を命令することを避けるよう影響を与える役割をしているかも知れない。
 
 確かにイスラエルは更なる天然ガス資源を必要としているし、一方パレスチナ人民は新しい歳入源を必要としている。しかしながら、過激派イスラムの砦と化したガザと、次にそうなる危険性のある西岸では、イスラエルの億のドルをパレスチナ当局の代わりに地方のあるいは国際的銀行口座に送金することは、イスラエル自体に対する資金テロに等しいことになりかねないだろう。従って、ガザのガスを購入する決定を、長い目で見た場合の安全保障面からの影響の観点から、緊急にこの問題を見直すことが必要である。(モシェ・ヤアロン:2007年10月19日)

 
 この宣言から理解されるべきことは、イスラエルはパレスチナ人に天然資源を開発することで存続可能な経済を保持することは許さない、ということである。「テロリストの脅威」とは、パレスチナを軍事占領下に置くための口実であり、その土地と資源を盗むためである。
 
 独立派の研究者はこういう軍事作戦やガザの不法な封鎖は実際、ガスと石油のためであると示唆してきた:
 
 今分かりだした事は、パレスチナに属するガス田を含む近隣のガス田をイスラエルのガス田として統合する、ということだ。(地図↓参照)
 

 
 エジプトからシナイ半島、そしてシリアに延びる東地中海沿岸全体は大きなガスと石油資源を含んでいる海域だということは、指摘されて置くべきだ。
 
 
和訳:「ROCKWAY EXPRESS」より

 
 中東における「難民問題」とは、イスラエルによる「パレスチナ人の追放」という側面があり、「イスラエル建国」のときから発生している問題であって…
 
「ダレット計画」 – Wikipedia
 
…に端を発する「ランドスキャム(土地収奪)」が継続的に行なわれているワケです。
 
 で、「難民問題」=「ランドスキャム」がこのところ急速に進展しつつある背景として、欧米の金融破綻が表面化しつつあり、現物=天然資源を横取りしようとする金融資本家の動きが「露骨」になってきたのかも知れませんw。
 
 つまり、戦火から逃れようとする避難民を責めることはできませんが、火事場泥棒に家の金庫を盗まれる可能性もあるということは、意識(覚悟)しておく必要があるように思ったワケです。
 
 したがって一時的に欧州に非難するにせよ、戦火が収まってから国を再建できるよう、天然資源の権利を確保する方策は講じておくべきでしょうなw。
 
 
 
 

人間ナメんなよ!

でわっ!

 
 

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