神の名を騙る

かた・る [0] 【騙▼る】

( 動ラ五[四] )
〔「語る」と同源〕

だまして人の金品を取る。 「金を-・る」
身分・地位・名前などを偽る。詐称する。 「人の名を-・る」 「実印を-・る」

[可能]かたれる

 

銃乱射は「テロ」=「イスラム国」を壊滅-米大統領

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は6日、ホワイトハウスの執務室から国民に向けて演説し、カリフォルニア州で起きた銃乱射事件を「テロ行為」と断定し、強く非難した。その上で「テロは真の脅威だが、われわれは打ち負かし、過激派組織『イスラム国』を壊滅させる」と改めて表明した。

 大統領は有志連合による軍事圧力とシリア危機の外交解決を軸とした現在の戦略を継続すると説明。「イラクやシリアで地上戦を行うべきではない。それは『イスラム国』が望んでいることだ」と指摘し、大規模な地上部隊を派遣しない方針を堅持する考えを強調した。

 また、対テロ戦を「米国とイスラム教徒の戦い」と捉えるべきではないとも訴えた。一方で、イスラム世界は「釈明せず過激主義と対決しなければならない」と呼び掛けた。(2015/12/07-11:03):時事

 当初から違和感があったのでもう一度整理してみます。つまり、ワタシたちが「イスラム」という名詞を聞いたとき、その言葉に対応するものは何か?という話なワケで、それは「人」であったり「文化」であったり「宗教」であったりと、とても多くの要素を含み、それは「愛国」という言葉の概念にも似ています。

 G.オーウェル(『1984』の著者)も、言葉の概念を自己流に誇大解釈する「ナショナリズム」について考察していますが、オーウェル風に捉えるなら…

$$団=愛国者

…ということになり、「愛国者法」までつくったアメリカも同類ということです。またアメリカに限らず、今回地方選挙で「右翼」が圧勝したというフランスも、右翼政党の掲げる「愛国精神」とやらに囚われつつあると言えます。

仏右翼政党、地方選で「歴史的躍進」 テロ不安で支持
朝日デジタル パリ=青田秀樹2015年12月7日11時10分


6日、フランス地域圏議会議員選挙の結果を受けて演説に臨む右翼・国民戦線(FN)のルペン党首(中央右)=ロイター

 同時テロが起きたフランスで6日、日本の関東や近畿にあたる「地域圏」の議員選挙があり、右翼・国民戦線(FN)が3割に迫る得票で首位にたった。移民や難民の流入が治安を悪化させていると訴えてきたFNを、テロによる不安が押し上げた。結果は13日の決選投票で確定するものの、仏メディアはFNの「歴史的躍進だ」と伝えている。

 130人が犠牲になった11月13日のテロ後、FNは「大量の移民に紛れてテロリストがフランスに入り込んでいる」と指摘。中東などからの難民受け入れを進める政権批判を強め、人やモノが自由に移動する欧州でも国境の管理を強化するよう訴えて支持を広げた。

 仏内務省の集計(開票率98%)によると、FNの得票は全体の約28%。サルコジ前大統領が率いる中道右派・共和党(旧民衆運動連合=UMP)が27%で続き、政権与党の中道左派・社会党は23%だった。

 フランス本土で13ある地域圏は、県を束ねる行政単位。投票は地域ごとの比例代表制で、過半数に達する党がない場合は決選投票に進む。地域圏議会議長は地域トップとして行政もつかさどる。

(後略)

『ナショナリズムについて』 – G.オーウェル (1945)

 状況的には、ナチスの政治的躍進のキッカケとなった国会議事堂放火事件の後と、似たような状況になりつつあるワケです。

国会議事堂放火事件 – 世界史の窓

1933年2月27日夜、ベルリンの国会議事堂が炎上、ヒトラー内閣はそれを共産党員の放火と断定し、共産党弾圧の口実とした。

 ドイツ共和国において、1933年に成立したナチ党のヒトラー内閣が国会議事堂の放火炎上をドイツ共産党の犯行と断定し、同党を解散させた事件。ナチスの政権確立の陰謀事件と考えられており、これによってヒトラーは独裁的な権力を獲得した。

 1933年1月に内閣を発足させたヒトラーは、国民に信を問うという形で国会を解散、その国会議員選挙が3月5日を投票日とした。その選挙期間の最中の2月27日夜、ベルリンのドイツ帝国議事堂が炎上した。ヒトラー内閣はこれを共産党の一斉蜂起の合図であるとみなし、その徹底的な弾圧を命じ、翌日「民族と国家を防衛するための大統領緊急令」を公布してワイマール憲法で定められた基本的人権を停止した。放火犯人としてブルガリア共産党のディミトロフ(戦後のブルガリア首相)などが逮捕されたが、10月の裁判ではディミトロフは無罪となり、元オランダ共産党ファン=デア=ルッベの単独犯行と断定された。以後共産党は解散させられ地下活動に入らざるを得なくなった。

 国会議事堂放火事件を口実に共産党の活動を押さえ込むことに成功したヒトラー政権は、さらに社会民主党議員に対しても種々の口実を設けて議会から追放した上で、翌月、全権委任法を強引に成立させ、独裁政権を「合法的」な装いのもとに成立させた。
 

民族と国家を防衛するための大統領緊急令

 国会議事堂放火事件の翌日、ヒトラー内閣は、それを共産党のしわざと断定し、「共産主義者による国家を脅かす暴力行為を防止する」ことを名目に、上記の大統領緊急令を発した。この緊急令によって、ヴァイマル憲法に定める基本的人権は当分の間、停止されることとなり、悪名高い保護検束制度が導入されることになった。秘密国家警察(ゲシュタポ)は、国家の敵とされた者を、具体的な犯罪行為がなくとも強制収容所におくることができるようになった。この緊急令は、その後も廃止されることなく存続し、対象も共産主義者以外に拡大され、1933年10月までに約10万人が保護検束され、そのうち500~600人が殺害されたと言われている。

簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ – ナオミ・ウルフ (2007)

 最近は「イスラム国」という名前ではなく、「ダーイッシュ」という名前をメディアは使うようになっていますが、本人たちは「IS」=「イスラム・ステート」=「イスラム州」を名乗っているワケで、勝手に名前を変えて報道することに何か意味があるんですかね?

 もちろん「イスラムへの偏見」を誘発しないために、「イスラム」という言葉を避けるのは理解できるにしても、ある意味それは…

「言葉」に敗北してる

…ということ。本質的な問題は、「概念」「感情」「理性」の関係です。

 だいたいが、「言葉に負ける」なんてオカシイと思いません?「言葉」は実態を持たない「記号」であり、「バーチャル」なものです。例えば誰かに「バカ」と罵られその言葉に凹むのは、「言葉」に「精神的」に負けたからであって、取っ組み合いのケンカをして負けたのは違い、実質上は何の「被害」もありません。被害を被ったのは「精神」なのです。
 
 しかし厄介なのは、「精神」が人間の「行動」のモチベーションになっていることであり、「行動」は「実体」に影響を及ぼすということ。

 したがって人の「精神」を操ることができれば、実体を持つ「社会」をも操作することができるという理屈。

 で、「精神」の勝敗は何によって決まるかというと「感情」です。「勝った」と思えば「気持ちが高揚」して楽しいでしょうし、「負けた」と思えば、逆に「気持ちが沈んでしまう」ワケです。よね?

 ワタシ思うに、「ナショナリズム」「ナショナリスト」はこうした「高揚感」を求めているのではないかと?で、「高揚感」によりイイ気持ちになるのは、脳内のアドレナリンの分泌に関係します。

ノルアドレナリン

意欲と生き残るために必須の神経伝達物質

 脳幹の青斑核からはじまって、大脳辺縁系、視床下部、小脳などに広く分布している神経系が、アドレナリン作動性神経系と呼ばれています。アドレナリン作動性神経系とA-10神経系は相互に連絡しあうことが知られていて、片方の興奮が他方に伝わるという関係になっています。

 ヒトは恐怖・驚愕の体験に遭遇すると青斑核からノルアドレナリンを分泌し、闘争か逃避かの態勢に入り、ストレス体験を終息させるための行動に入ります。長期間回避不能のストレスにさらされた動物は、やがて無痛覚の症状に至り、ストレスを回避する行動を止めてしまいます。この無痛覚の状態は脳内麻薬様物質(オピオイド)の作用によるものと考えられています。オピオイドの拮抗物質であるナロキソンが分泌されると、無痛覚の症状は打ち消されれることになります。

 長期間回避不能のストレスにさらされた場合、動物実験ではノルアドレナリンが減少します。ノルアドレナリンの使用が合成を上回るようです。そしてこうした体験をもつ個体は、体験を持たない個体が反応しない刺激に対してもノルアドレナリン濃度を減少させます。

 ノルアドレナリン濃度の減少が繰り返された場合、脳内のノルアドレナリン受容体の感受性が上昇して、ささいな刺激に対しても過敏に攻撃・逃避反応をするようになります。

 また、幼少期に愛情剥奪(母親からの隔離)などを受けたサルに少量の麻薬様物質を投与すると、ノルアドレナリン濃度は普通に育てられたサルより上昇し、過敏で攻撃的な状態になります。

 PTSDのベトナム帰還兵は、尿中のノルアドレナリン濃度が慢性的に高いことが知られています。アドレナリン作動神経系が慢性的に興奮し、現在にいたるまで戦闘態勢のままであることが示されています。

脳とトラウマ - 神経伝達物物質 –) より

 そしてこれは「右翼」のような「ナショナリスト」に限った話ではなく、すべての「ナショナリズム」…「宗教」であったり、「スポーツ」であったり、ある種の「集い」であったり…にも当て嵌まるワケで、本質的に…

人間は「ナショナリズム」に陥りやすい

…というコトです。はい。

 こうした「ナショナリズム」=「本能」の暴走に歯止めをかけられるのは「理性」でしかなく、したがって「理性」を鍛えるしかありませんし、そのために重要になるのが…

自分の頭で考える

…という習慣です。

 「本能」が先天的に備わっているのに対して、「理性」は自ら獲得するしかなく、かつ、「本能」は生まれてから死ぬまで機能しているワケですから、それをコントロールするには習慣的に「理性」を鍛錬するしかありません。で、その基本が「自分の頭で考える」というコト。

 日本は「政教分離」なので「神」が政治に介入することはありませんが、イスラム圏(アラブ圏)では…

神=全て

…という社会体制下にあり、「神を騙る連中」の術中に嵌りやすいことは確かで、そうした「騙り」「民主主義」にも見られます。「民主主義」「民主化」の大義名分の下に、「紛争」「戦争」が繰り返されています。よね?

 「概念」「感情」「理性」の関係を整理すると、「概念(言葉)」が「感情(本能)」を左右するのは、「理性(知識)」の欠如にも関係し、したがってより多くの知識を得ることで、「言葉」にも振り回されなくなるワケです。

 ただし、「知識」は「悪用」されることがあり、「人を騙す」という使い方もされるので注意が必要。したがって、「権威的な知識」を鵜呑みにするのではなく、「自分の頭で考える」という習慣を身に付けようという話。

 「何も信じられない」と心配になるかも知れませんが、ひとつだけ確かなことは…

その痛みに嘘はない!

…ということ。

「Best Of You」 – Foo Fighters (2005)

 全ての人が等しく「空腹」を感じ、等しく「幸福」を望みます。それは「人間」が「人間」であることの動かしがたい事実であり、これ以上に確かなことはありません。

『普遍主義』 – ヴィヴェク・チーバー (2014)

 フランス国民が「右傾化」≒「ナショナリズム」に陥っているのだとしたら、それはフランス国民の「知性の欠如」を示しているのでしょうし、同じことは日本も、アメリカも、アラブも、世界中について言えます。なぜなら…

「ナショナリズム」は人間が背負った「宿業」

…なのですから。
 
 
 
 

人間ナメんなよ!

でわっ!

 
 

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