原理主義が抱える矛盾

 ロイターですら?サウジアラビアが仕掛ける「中東の混乱化」について触れるようになったのは、おそらくそうした観測が情報筋の大勢を占め、報道機関として体裁を保つにはこの件を採り上げずにはいられなくなったからか?
 

コラム:「中東危機」仕掛けるサウジ、米国は挑発に乗るか
ロイター Column | 2016年 01月 7日 16:01 JST
 

 
Trita Parsi

[4日 ロイター] – イスラム教シーア派の有力指導者ニムル師を処刑したサウジアラビアの狙いが、中東地域の「緊張」を「危機」にまでエスカレートさせることであることはほぼ確実と思われる。

処刑と同じ日、サウジ政府はイエメンとの停戦合意を一方的に破棄した。

イランは、在テヘランのサウジ大使館に対する抗議参加者による放火を黙認することで、サウジが仕掛けた罠にすっかりはまってしまったように見える。米国がサウジ側に立ってこの紛争に介入することを余儀なくされれば、サウジの目的は達成されたことになるだろう。

ニムル師処刑の決定が中東に混乱をもたらすかどうか、また、ただでさえ対立していたイランとの関係をさらに緊張させるかどうかをサウジが理解していなかったとは考えにくい。

サウジ大使館に対する許しがたい放火について、イランのロウハニ大統領は「まったく不当である」と批判したが、報道によれば、イランの治安部隊は放火を防ぐ行動をほとんど取らなかったようである。この放火によってサウジ政府は、イランとの断交に踏み切る完璧な口実を得た。こうしてサウジ政府は、シリア、イエメン両国における米主導の地域外交を大きく損なったことになる。

サウジは以前から、シリア内戦であれ核開発問題であれ、イランを参加させ、同国政府の中東での役割・影響力を正常化するような外交イニシアチブに反対してきた。

筆者が米当局者から聞いた話では、これまでにもサウジ政府は、イランが出席するのであればボイコットするとほのめかし、シリア情勢に関するジュネーブでの協議からイランを確実に排除することに成功してきた。ホワイトハウス筋によれば、昨年秋には、オバマ米大統領自らサルマン国王に電話し、シリアに関するウィーンでの協議にサウジが参加するよう説得しなければならなかったという。

イランとの外交関係を断つことにより、サウジは、いざとなれば米主導によるこれらの交渉を遅らせ、骨抜きにし、恐らくは完全に断念させる、格好の口実を得たことになる。

サウジ側から見れば、この10年以上にわたって、中東地域の地政学的トレンドはサウジの国益に不利な方向に進んできた。イランが台頭し、米政府はイランの核開発プログラムに関してイラン政府と交渉し、妥協する道を選んだことで、サウジの焦りは募る一方となった。

このように考えていくと、ニムル師の処刑という意図的な挑発の裏にあるサウジ政府のもくろみは、危機を(恐らくは戦争さえも)仕立て上げることにより、中東地域の地政学的な針路を自国に有利なように修正できるという期待にあったのではなかろうか。

その目標は、米国がサウジ側に回らざるを得ないようにして、ゆっくりとではあるが確実にイラン政府との関係を改善していこうという試みを挫折させることだろう。サウジ政府に近い人物はウォールストリート・ジャーナル紙に次のように語っている。「ある時点で米国は(サウジかイランの)どちらかの側を選ばざるを得なくなる。これによって核開発交渉が頓挫する恐れがある」

イラン政府は今回のサウジ側の罠にうっかり陥ってしまったが、米政府はその失敗を真似るべきではない。事実、米国の視点から見れば、混乱を引き起こそうとするサウジの活動は、2015年に米国がイランとのあいだでまとめた核開発をめぐる合意の正しさを裏付けている。この合意の決定的な利点の一つは、オバマ政権当局者からはまだ明言されていないものの、米国のサウジ依存を軽減しやすくする点なのである。

核開発をめぐる行き詰まりを解消し、イランと交渉可能な関係に戻ったことにより、中東地域における米政府の選択肢は増えた。

マイケル・マレン元海軍大将は昨年、核開発合意についてポリティコ誌に次のように書いている。「これによって、米国の影響力がより均衡の取れた形でリバランスされる。我々は、スンニ派優位の国との関係を中心として、中東地域におけるすべての関係を再検証する必要がある。イランとの緊張緩和によって、宗派対立のもとでの我々の取り組みのバランスが改善させる可能性がある」

サウジが意図的に中東危機を招くような方向に事態を進めている様子を考えると(一つにはサウジ政府自身のイランとの敵対関係に米国を引きずり込みたいという動機がある)、米政府としては、中東地域でのサウジの暴発を全面的に支援する義務を負うよりは、サウジとイランのあいだの調整役を演じられるようにしておく方が明らかに有利だ。

とはいえ、両国の対立から距離を置きたいという米政府の希望が正当化できるかどうかが問題だ。オバマ政権の当局者はすでに、今回のサウジ主導の危機が、過激派組織「イスラム国」との戦い及びシリア情勢をめぐる外交に及ぼす影響について懸念を表明している。

ある米当局者はワシントンポスト紙に対し、匿名で、サウジがやろうとしているのは「危険なゲーム」と指摘する。「これらの処刑に対する反応以上に大きな影響」が生じており、イスラム国対策だけでなく、シリア和平プロセスにも悪影響が及んでいるという。

米政府にとっての優先課題が、イスラム国をはじめとするジハーディスト運動を打倒することであるならば、同組織に厳しい姿勢をとっているイランと、過激なジハード主義の推進に関して否定できない役割を演じているサウジのあいだの調整役を米国が演じることは、正しい答えではないかもしれない。

*筆者は 「A Single Role of the Dice–Obama’s Diplomacy with Iran」 (Yale University Press, 2012)の著者で、ナショナル・イラン・アメリカン・カウンシル会長。本コラムの見解は筆者の個人的見解に基づいており、同カウンシルの立場を反映するものではありません。(翻訳:エァクレーレン)

 
 コラムという形で掲載していても、当該コラムを掲載した意図は、ロイターもそれを認めているからと思われ、反アサド、親アサドの両陣営が「同じ見解」だということは、少なくとも今回のサウジの行動については、双方の「合意」が成立しているワケです。

 というか?状況を勘案すれば、誰でも同じ見解に至るという話。

 それはソレとして、「マムルーク(傭兵)」の歴史からすると、イスラム圏における宗派対立にはまだウラがあるような気がしますw。

 「ワッハーブ派」というイスラム原理主義の一派がクローズアップされるようになりましたが、「ワッハーブ派」のイデオロギーは、イスラム教の教祖マホメットの教えに忠実に従うというもので、ならば?マホメットを崇敬するように思うのですが、「コーラン」で禁止された「偶像崇拝」になるからと、マホメットの墓すら破壊してしまうワケです。

 「偶像崇拝」はあらゆる宗教に見られ、ユダヤ教、キリスト教、仏教のどれもが「偶像」を禁止していますが、現実にはそうなっていません。

 翻って、「宗教」ではなく「法律」の場合だとどうか?例えば「日本国憲法」は、日本国民であれば誰もが遵守する「決まり」ですが、「偶像」に向かって祈りを捧げることはありません。「法律」≒「戒律」に従うワケですから…

やっていることは同じ

…なワケですが、「神」が決めた戒律と「人間」が決めた法律とではそのありがたみが違うのか?戒律が不変であるのに対して法律は可変です。ただし戒律にしても…

「解釈変更」

…されるコトはあり、キリスト教に関して言えば、過去何度も「宗教会議」が重ねられて現在にまで至り、そして現在もなお「解釈変更」は重ねられています。

 イスラム教にしても同じ事で、数多くの宗派が派生するのは人間側の「解釈の問題」であり、それを、「原点」に戻して「再統一」しようという運動を頭から否定するつもりはありませんが、本当の「原点」はマホメットであったりイエス・キリストの…

頭の中

…にあるワケですから、教祖が死んでしまえば「原点」も失われ…

「原点」に戻ることなど不可能

…だという話。つ・ま・り…

一の「宗教」の純粋性は、教祖が存命中しか保たれない!

…という理屈になります。

 そこで「経典」を編纂し、それを拠り所として「信仰」を維持することができたとしても、先に述べたように、経典に残された教祖の教えが「解釈変更」されることは往々にしてあり、そうした「解釈変更」は時の権力者に利用されるコトもあり得る…というか、それが歴史的事実でしょ?

 したがって、「原点回帰」という宗教運動の意義は理解できるにしても、本当の「原点」は最早存在しないワケですから、「ワッハービズム」のような過激な原点回帰運動はそのはじまりからイデオロギー(解釈変更)に陥っており、したがって「原点」からズレていると言えます。

 「ワッハーブ派」にしても「キリスト教原理主義」にしても、「解釈変更」している矛盾を自覚せずに「原点」に戻ろうとしているのか?もしくは「確信犯」的に「解釈変更」された「原点」を振りかざしているのか?

 「新約聖書」を読んだのはもう遥か昔ことなので、誰の「福音」だったか記憶も曖昧ですが、イエス・キリストが弟子たちに…

エホバの神を信じていなくとも、正しく生きている人たちはいる

…と言い、そうした人たちをそっとしておくようにと諭した一節を覚えていますw。
 
 
 
 

人間ナメんなよ!

でわっ!

 
 

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