金井東裏遺跡

古墳期のよろい「小札」は鹿角 国内で唯一の出土例 渋川 /群馬
毎日新聞2015年11月12日 地方版

 日本で初めて古墳時代後期(6世紀初頭)の「よろいを着た古墳人」が見つかった渋川市の金井東裏(かないひがしうら)遺跡で2013年12月に発掘された小札(こざね)が、ニホンジカの角を加工して作られていたことが県教委の調査で分かった。小札は短冊状のよろい部品。鹿角(ろっかく)製の出土例も日本で初めて。11日開催された調査検討委員会(右島和夫委員長)の会合で報告された。

 小札は、長さ5〜7センチ、幅2・5〜3センチ、厚さ3・5〜5・5ミリに削り出した鹿角50枚を4段に重ね合わせ、縦約17センチ、横約20センチの「胸当て」あるいは胴部の左側を守る「脇当て」として用いられたとみられる。鹿角1枚に11カ所の穴が開けられ、伸縮できるよう編み上げられていた可能性が高い。右島委員長は「動物の骨にせよ、鹿角製にせよ、こうした小札が国内で唯一の出土例であることに変わりはない」と話した。

 ニホンジカは日本列島から朝鮮半島まで広く生息している。小札のDNA鑑定で個体の生活圏が解明されれば、古墳時代の文化交流状況を知る上で重要な手がかりとなると期待される。しかし、現状の分析・鑑定法では試料の出土品を破損してしまうため、当面は良好な状態で保存し、将来の分析技術改良を待つ方針という。

 調査検討委の会合では、遺跡の古墳部から出土した鉄矛が、鞘(さや)の鹿角製口金部分に銀と錫(すず)をかぶせて装飾が施されていた▽鞘は動物の皮革製とみられる▽皮革は獣毛を残して刀身を巻いていたとみられる−−といった事項も報告された。栃木県埋蔵文化財センターの内山敏行係長は「光らせるだけなら銀で十分なのに、なぜ錫も使ったのかに注目したい」と指摘。設楽博己・東京大大学院教授(考古学)は「獣毛を残した鞘は貴重。何の毛か特定する必要がある」と述べた。【高橋努】

 

 

「甲を着た古墳人」は渡来系? 調査委分析で判明 /群馬
毎日新聞2016年3月17日 地方版


かぶと(左)、よろいを調べる委員たち

 渋川市の金井東裏(かないひがしうら)遺跡で日本で初めて見つかった古墳時代後期(6世紀初頭)の「甲を着た古墳人」は、中国大陸や朝鮮半島から来た渡来人に近い顔だったことが、調査検討委員会(右島和夫委員長)の分析で分かった。発掘された人骨4体のうち幼児は、乳歯と永久歯が混在していることから推定5歳前後であることも16日の会合で発表された。

 「甲を着た古墳人」は40代男性で身長164センチ。面長で眼窩が高く鼻が細い顔だった。かぶとを頭から外して両手で持ち、火砕流に向かって左足を前に出して立った状態だった。

 成人女性は30代で身長143・8センチ。えらが張って鼻が太い関東・東北古墳人の特徴を持つ。腰部の骨の分析から経産婦だった可能性が高い。火砕流に対して右手を出し、顔をかばうようにしていた。

 ストロンチウム測定やDNA分析から、男性と女性は母系は異なるが、同じ場所で幼少期を過ごして移住してきたとみられる。長野県伊那谷地域で馬匹生産に従事していた人々の可能性が高い。4人が家族かどうかは分からないという。【高橋努】

 
 

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