「負債」としての「お金」 (3/5)

■ 明快な真実

 ローン、あるいは抵当の書類にサインした時、その支払いは「罰則として資産を提供する」ことで裏づけされます。万が一支払えない場合、実際に価値ある資産が没収されます。その約束を守るというローン契約、あるいは抵当が、持ち運びでき、交換でき、売却できる紙片となっているのです。

 それは借用証書です。それはお金という形をした、価値を示すものです。このお金は、借り手による銀行の「ローン」と呼ばれるものが形を変えたものです。

 今、この世界において、貸し手がローンを貸すためには、何らかの担保を持っていなければなりません。もしもあなたがハンマーを必要とするとき、私がハンマーをあげる約束をするだけでは、何の助けにもならないでしょう。しかし、お金というバーチャルな世界においては、持っていないお金を貸す約束をする銀行は許され、容認されているのです。
 

「私たちの国家通貨は、銀行の思いのままに操られている。銀行はお金を貸すのではなく、自分たちが持っていないお金の供給を、ただ約束するにすぎない。」

― アーヴィング・フィッシャー : 経済学者・作家

 
 借り手が借金の誓約をしたら、銀行は借り手の負債をコンピュータにちょっと入力することで、データ処理して帳尻合わせをします。借り手の立場から見れば、これはローンのお金となります。何故なら、政府がそうする事を認定していて、誰もがそれをお金として、受け入れなければならないからです。

 繰り返しますが、基本的な事実は非常に単純なのです。借り手のサインした書類がなければ、銀行は何も貸し付けることは出来ないのです。

 あなたは、どうしてこんな天文学的な負債を誰もが抱えているのかと、今まで不思議に思ったことはありませんか?あなたは、疑問に思ったことはありませんか?どうしてそんなにたくさんの、貸し出しできるお金が銀行にあるのだろうかと?

 今、あなたは気が付きました。そこにはないのです。

銀行は、お金を貸してはいないのです。

 彼らは、お金を借金から創っているのです。そしてその借金は、潜在的に無限であり、それがお金(クレジット)の供給源なのです。そしてひっくり返せば、そのまた反対の状況も真実です。

 私たちは周りにある、信じられないほどの豊かな資源、技術革新、生産力にも係わらず、政府、会社、個人、ほとんどが銀行に対し、大量の負債を負わされているのです。

 これは一体どういったことなんでしょうか?人々が立ち止まって、考えさえすれば分かるでしょう。それは一体どういう風にして出来るんだろう?どうやったら出来るんだろう?と。

 現実に、世界で実際の富を築いている人々が借金に陥っている。ただ単に富を表す、お金を貸し出す人たちに!さらに驚くことに、私たちがお金とは「負債」だと一旦気づいたら、もし借金がないのなら、お金は存在しないことがわかります。
 

「私たちの貨幣システムというのは、そのシステムの内に借金が無いとしたら、そこにはお金が存在しないのです」

― マリナー・S・エクルズ : 連邦準備理事会会長

 

 
 もしこれが、あなたにとってニュースでも、あなた一人ではありません。ほとんどの人が想像できます。

もし全ての借金が返済されたのなら、経済は改善します。

 それは確かに、個人的なレベルで真実です。私たちのローンの支払いが終わって、もっと使えるお金を誰もが持てたら、一般に使えるお金も多くなるはずです。

 しかし現実は全く反対に、使えるお金が全然なくなるのです。私たちが使っているお金のかなりの部分は、銀行の再信用貸付に依存しています。ローンがなければ、お金がないのです。

 かつて起こった世界大恐慌のときには、ローンの供給が干上がるに連れて、劇的にお金の供給が無くなったのです。
 

「これは、よろめくような現実です…私たちは完全に、商業銀行に依存しています。現金であれクレジットであれ、我々の使っているドル(円)は、誰かしらが借金しなければ生まれないのです。もし銀行が、充分なお金を創造したなら、私たちは繁栄するでしょう。そうでなければ、私たちは飢えます。私たちは、恒久的な借金によるマネー・システムなしでは、絶対に生きられないのです。誰かがこの状態を完全に理解したとしても、このバカげた、悲劇的で、絶望的な私たちの立場を、ほとんど信じられないでしょう…でも、ここにあるのです。」

― ロバート・H・ヘンフィル : アトランタ連邦準備銀行・クレジット・マネージャー

 
 そして、そればかりではありません。銀行は、ただ元金だけを創造します。支払うための利息は創らないのです。それなら、利息はどこから来るのでしょうか?借り手が利息を支払うために、お金を得られる唯一の場所は、市場経済の中だけです。

 しかし、その全ての貨幣供給は、やはり銀行の信用創造によって創られたものです。ですから私たちは、創られた以上のお金を返済しなければならないのです。借り手は、全体の資金量が元金しかないところから、死に物狂いで元金と、利息を返済しようとします。

 明らかに誰もが、元金と利息を返済するのは不可能です。なぜなら、利息というお金は存在せず、単なるヴァーチャルな数字にしか過ぎないからです。

 ここで大問題なのは、長期ローンや政府の借金で、利息の総額が元金を上回ってしまうことです。これは、利息を支払うための充分なお金が創られない限り、非常に高い確立で返済できない分の抵当を失うことを意味します。

 社会的な破綻を招かないためには、抵当権が実行される割合を、低くすることが必要です。そしてこれを成し遂げるためには、さらなる新しい借金が、以前の借金の利子を払うために創られなければなりません。しかしこれはもちろん、全体の借金を大きくすることになります。

 そして結局、もっと多くの金利を支払わなければなくなり、結果的に、山のような借金の渦の中から逃げられないことになります。新しく、ローンとして創造されたお金が、全体的な不足分に追いついている間だけ、システムの破綻を免れているに過ぎません。

 しかしながら銀行の、飽くことを知らないクレジットの化け物は、次第に大きくなっています。さらに、さらなる借金を創る必要性が逼迫しています。なぜ利息がそんなに低いのですか?なぜ頼んでもいないクレジットカードを、郵便で受け取らなければならないのですか?なぜアメリカ政府は、以前より支出を早めているのですか?それは全体の貨幣システムの崩壊を、かろうじて食い止められますか?道理をわきまえた人は、尋ねなければいけません。

これは実際、永遠に続くのですか?崩壊は避けられないのですか?
 

「私たちの預金準備制度について、ひとつ充分に理解しなければならないことは、子供の椅子取りゲームのように、音楽が流れている限りは、そこには敗者は生まれないことです。」

― アンドリュー・ゴーズ : 歴史家

 
 お金は商業生産を促進します。貨幣供給が増加するにつれて、生産と取引量が同じように成長しない限り、お金の価値が下がってインフレになります。

 また、年3%の経済成長をしているとき、私たちは経済が一定のレートで成長していると思っていますが、それは違います。それは、今年の3%は去年の3%より、商品とサービスが増加していることを意味します。毎年、新しく3%が積み重なるのです。グラフは直線的ではなく、徐々に急勾配を上昇する、急激なカーブを描きます。

 これを実現するには、実物経済の永久的な成長が必要で、それには世界の資源とエネルギーを永久に拡大して、消費する必要があります。さらに、自然資源から取られた原料が、毎年毎年、永遠にゴミになっていきます。貨幣システムを、崩壊から防ぐためにです。
 

とんでもない成長がこの世界で永遠に続くと信じている者は、○チガイか経済学者ぐらいでしょう。」

― ケネス・ボーディング : 経済学者

 
 私たちはこの、まぎれもなく恐ろしい状況に対して、何か出来るでしょうか?ひとつに、私たちはお金に対して、全く異なった概念を持つことが必要です。資源と技術の不足はあります。しかし、何故お金の不足がなければならないのですか!?

多くの人々が、自分自身と政府に問いかける時が来ています。

 四つ質問があります。

 世界中の政府が、民間の銀行から利息付きのお金を借りています。政府の借金は、全体の借金の主要部分を占めており、私たちから税金を取って、借金の返済に充てています。

 いま私たちは…

銀行が借金からお金を創り、政府がそれを許可して、権限を与えている

…ことを知りました。そこで最初の質問です。

 なぜ政府は、必要なら自分たちで利子のないお金を創ることが出来るのに、民間の銀行から利息付きのお金を借りることを選択したのでしょう?

 第二の大きな質問です。いったい何故、負債としてだけお金を生み出すのでしょう?なぜ永久に流通する、金利付きで、借りても借りなくても良いお金を創らないのでしょうか?

 三番目に、どうしたら永遠に成長し続けなければならないマネー・システムで、持続可能な社会を築くことが出来るのでしょうか?永遠の経済成長と、環境を持続可能にすることとは、両立しがたい論理ではないのですか?

 そして最後に、永遠に経済成長しなければならない、現在のシステムとは何なのですか?持続可能な経済に転換するために、どういう変化が必要なのでしょう?
 
 

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